業界の位置づけを変えたい
人生の大半を費やす仕事を通じて、平沼は幸せになりたいと思っている。そのためには社員とともに安定した収益が上がる事業基盤をつくっていくことも大切だし、各人が考えてより良い仕事をしていくことも大切だ。そんな彼自身の考えは、どのように反映されているのだろうか。
「私は消費一辺倒の市場主義経済に疑問があります。たとえば施主が解体業者を選ぶときに、まず大切にしなければならないのは、安心して工事を任せられる業者かどうかという点です。解体コストを安くしようとするあまり、近隣に迷惑をかけるような乱暴な解体を行うのは、市場主義経済の弊害に他なりません。『近所づきあい』、『お互い様』、『もったいない』といった精神が希薄になっている今だからこそ、近隣に迷惑をかけないように解体し、廃材で作品を創って、新しい場所で活用してもらうような試みに価値があります。そうした現状を踏まえて生まれた当社商品が、お客様と私たちが一緒に問題解決に当たっていく『まごころ解体』です。現代の解体には、いろんなアプローチがあります」
コストだけでは収まりきらないことが確かにある。長年住んだ木造家屋の廃材から椅子や机をつ
くる等、「まごころ解体」は人の想いを形や行動に託した商品である。
「もうひとつ、『善循環モデル現場』という取り組みも始めました。埋立処分にまわる廃棄物を低減するために分別を徹底し、少しでも多くの資源循環を実現しようと当社は早期から取り組んできました。しかし、そのために分別のあるべき姿を提示し、排出事業者のモラルに任せるだけでは、善・循環型社会の形成は難しいことがわかりまし
た。そこで、より良い資源循環を実現するために『善循環モデル現場』では、単に産廃コンテナを設置するだけでなく、顧客が抱えている課題を、当社社員が関わって、一緒に解決していきます。分別目標の設定・現場での分別指導・配車サポートといった現実の取り組みを通じて、顧客から選ばれるパートナーになり、真に循環型社会の形成を目指します」
つまり、同社が掲げる「理想的な資源循環の実現」という目標をしっかり共有できる顧客企業とは、従来の業者−顧客関係を超えて、目標に向けて共に行動する支援関係を結び、同社社員も顧客の現場へ参入して、目標達成へのプロセスを共に歩むということである。
「どのような考えを持つかによって、そこから生まれるものは異なります。ただ、会社も、事業も、商品も、すべて人間が考えてつくったものですから、自分たちで変えていけるのです。私は社員一人ひとりが考える力を発揮して、自らの仕事にプライドを持ち、事業をより良くしていくことができたら、解体業や産業廃棄物処理業の社会的な位置づけも変わると思っています。それをみんなで実現したい。業界を底上げしたい。ダントツの成果を上げることから、その一歩を踏み出したいですね」
どんな大きな夢も、その実現への道は実際に行動することから始まる。既に動き出しているリバイブのトップ、平沼は「まるで革命家みたい」と笑った。社員の意識改革も、業界の底上げも、彼にとっては革命に違いない。社員を支援し、社会に影響を与えながら、自らのプライドを取り戻すための革命なのである。