WE TRY !

現場が主役
 株式会社リバイブの三代目社長として、今、平沼は事業への思いを次のように語る。 「先代を否定する気持ちはありません。ただ、時代の変化とともに、市場も、自分たちも変化していますから、これからの時代のやり方は変わって当然だと思います。かつては経営層が決めたことを実行するのが社員でした。しかし、今は現場の声を活かすスピード感が必要です。現場の声とは、ドライバーや作業者の声であり、営業の声です。私はそうした最前線でサービスを届ける現場の社員に、感じたことを言葉にして伝えてもらいたいと思っています」
 その力強い言葉通り、リバイブでは社員の発言を活性化する仕組みづくりも始まっている。例えば、ドライバーが現場で過積載にも程があるというほど、廃棄物が積まれたトラックを見て、社内版SNSのヤマーに『あり得ない荷姿!』という言葉とともに、写真をアップしたことがある。すると、その投稿により問題はたちまち全社で共有できたという。営業は顧客に「気をつけてくださ
い」と即座に言うことができ、過剰積載を解消することで事故を未然に防ぐこともできた。
 もはや、経営者は言いたいことを言い、従業員はひたすらガマンするという体制では、顧客に最適なサービスを提供することはできない。そして、管理者が声高に情報共有を呼びかけるだけの時代でもない。現場の声を聞きたければ、現場の声が聞ける仕組みをつくり、気軽に使用できる状況をつくればいいのである。
「ヤマーはどんどん情報をアップしてくれるドライバーや社員がいることで、社員全体に広がり、みんなが注目するようになってきました。ただ、これだけで充分とは思っていないので、私は現場の声を聞きながら、どのように現場近隣の住民と調和を図っていくか、どのように資源循環を促進していくかといった社会的に選ばれる企業になるための施策も、積極的に進めていきたいです」  現場と一体になって社業を展開したいという思いがよく伝わってくる。




人の力を信じたい
 社長になって半年。平沼は社員を信頼し、一人ひとりが力を発揮できるような環境をつくりたいと考えている。そのために、2014年からの3ヶ年かけての目標として、当たり前のことを百%やりきり、ダントツの成果を上げることを掲げている。具体的には、①ダントツのサービス品質をつくる、②ダントツの新規事業をつくる、③ダントツの学び場づくり、の3点が目標だ。 「顧客視点を持った現場の社員とともに、これらの目標達成に向けて邁進し、まずは成果を上げたい。そして、成果を上げた3年後からは、社員一人ひとりが本来の力を発揮し、次の時代へ続く持続可能なビジネスを展開していく、当社本来のビジネスの始まりだと考えています」
 平沼の考えの根底には、組織でビジネスを推進するという認識がある。決してトップに依存するわけでもなければ、スタープレーヤーの出現を待つわけでもない。全員野球ができるように、当初3年間は必死でダントツの成果を追求し、それを通じて社員一人ひとりの意識改革を実現したいと考えているのである。 「まずは、みんなに自分
で考える力を取り戻してもらいたいです。ただ流れに身を任せて、与えられた仕事をこなすだけでなく、自分はこのお客様にこういう仕事を届けたいという意思を持ってほしい。お客様の話を聞き、現場の様子をよく見た上で、自分がどうしたいかを考えてほしいのです。まわりの人と連携して、そうした自分の考えを大切にした仕事をすることで、自分の仕事への取り組み方が変わってくるし、仕事のやり方を認めてくれるお客様や上司も出てくるでしょう。シンプルですが、意識改革は自分で考えることから始まります」
 もがき苦しんだ時期を乗り越えてきた平沼にとって、今だから言えることだろう。忙しいとき、ピンチに立たされたとき、無気力なとき、人は思考停止状態に陥る。しかし、それが続くと思考停止に慣れてしまう。そこから脱して、考える力を取り戻すことができるのは自分しかいない。ただし、リバイブの社員にはそもそも考える力があることを信じて、取り戻すことを期待してくれる平沼がついている。
1
2
3
4
5
Revive People 01
代表取締役社長 平沼伸基
ひらぬま のぶき
1980年生まれ。 株式会社リバイブの創業家である平沼家次男として生まれ、葛藤の多い少年期を過ごす。現在は、自らの経験を内省して新たな展開を導く行動力と、合理的な思考を併せ持つ三代目社長として活躍。組織の力を最大限引き出すため、現場を主役にした会社運営を目指す。