リバイブの想い

「環境万博」にみる廃棄物の考え方
愛知万博の主会場である海上の森。この場所でオオタカの営巣が確認され、その後のゴンドラの設置など会場計画が大幅に変更されたのは記憶に新しいところです。「環境万博」をスローガンに実施された愛・地球博は、その閉幕まで常に環境との調和に試行錯誤しました。しかし一方で、人々に環境への関心を与え、地球とのコミュニケーションの方法を提示した点では一定の役割を果たしたと言われています。
汚水を再利用するトイレ、リニアモーターカーなど環境負荷の少ない交通手段の導入など環境に配慮した工夫と同時に、閉幕後にいかに廃棄物を出さないかが、大きな焦点でした。各パビリオンは、建築計画段階からリユース・リサイクルを前提に作られ、閉幕後の建築廃棄物をゼロにする考え方(ゼロエミッション)が積極的に採用されました。
万博終了後に発表された環境アセスメント結果報告(愛・地球博 環境アセスメントの歩みと成果)によれば、解体撤去工事中におけるコンクリートや建築発生木材の再資源化率は概ね95%を達成したと報告されていますが、パビリオンが入った鉄骨建物その他の廃棄物処理の初期計画はずさんの一言でした。
問題解決への第一歩
私たちリバイブでは、この万博で廃棄物問題を解決する第一歩としてある取り組みを行いました。それは「分別解体」という方法です。
万博内の施設や各パビリオンは、ゼロエミッションを目指し、その多くでリサイクルやリユースしやすい素材が使われましたが、ここには大きな問題がありました。それは、「どのように解体するか」ということについて、万博計画当初の段階ではほとんど議論されていなかったのです。廃棄物が「ゴミ」となるのか、再び利用できる「資源」となるのかは、分別の仕方がとても重要です。すなわち、建築物の場合、その「壊し方」がとても大切なのです。
従来、建築物の解体は現場で分別するという意識がほとんどなく、混合廃棄物として中間処理業者に持ち込むというのが一般的でした。しかしこのような方法では、木材・コンクリートなど本来資源として再利用できるはずのものの分別が困難になり、埋立処分の割合も多くなってしまいます。
「分別解体」の場合、現場に破砕施設を導入し、その場で資源を分別して資源別にトラックに積み込む方法をとります。こうすることでより正確な分別が可能になり、また運搬の効率も高まることで、排ガスの削減にもつながります。
木くずを例に取りますと、グローバルコモン1から回収できた量は431m³、実に4tトラック50台、10tトラック12台分にもなりました。回収した木くずはそのまま再資源化施設に運ばれ、パルプ原料や燃料チップ、合板などといった新たな商品に生まれ変わります。
物申す社会の番人として
私たち産廃処理業者はモノが「ゴミ」となるか「資源」となるかのまさに入り口に立っています。「壊し方」が正しいとしても、製造段階で解体・分別しやすい工夫がされていなければ、資源としての再利用率は低くなります。資源そのものを減らした製造やリユース・リサイクルを前提にした製品開発をすればゼロエミッションの実現可能性は高まります。この社会経済システムを循環させるためには、製品の購入を選択する一人一人の意識がとても大切です。なぜこの商品を選択するのか、その理由が明確に提示されていることが、賢い購入行動―グリーン購入―につながり、製造メーカーを動かす力になります。環境破壊につながるゴミ処理の実情を一番間近で知っている私たち産廃処理業者だからこそ、言えること、伝えられることがあります。
それは地域社会と一体化することでさらに大きな力になります。地域社会の一員として私たちが率先して行動し、現物見本として地域の人々に取り組みを示すこと、そして製造メーカーに物申す「社会の番人」として存在することが、私たちに課せられた使命であり、この大きな廃棄物問題を解決する糸口であると考えています。