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知名度を上げて、存在感のある企業に

 リバイブの産廃営業は、新規顧客の開拓よりも既存の顧客企業との取引を優先する。まずは一企業あたりの案件数を増やすことや、分別の精度を上げることに注力し、取引関係の強化と産廃処理の質的向上を目指すわけだ。そうした職場で働く板橋は、最近の自分の営業スタイルについて、次のように語った。
「もともと当社はお客様からのご紹介が多い企業ですが、今は現場監督との商談の際に、私から『ぜひお知り合いの企業や身近な現場の監督にリバイブをご紹介ください』とお願いしています。そうすると、初めてお会いするお客様に資源循環型社会をつくるための当社の理念や、それを見える化した産廃処理システムである善循環プロジェクトのモデル現場の説明・提案を行う機会が増えるからです。私は当社の事業を一人でも多くの人に知ってもらい、まずは地元での当社の地名度を上げて、当社が存在感のある環境企業になっていくことを願っています。そのために、こうした提

案の機会をできるだけ多く持ちたいのです」
 まっすぐで熱い言葉通り、板橋は実際に新規のお客様のもとへ行くと、パンフレットを広げて企業理念の説明を行い、できるだけ具体的に自社の産廃処理の方法を話す。すると、多くの担当者が、同社の処分場での分別が手選別中心であるという事実を聞いて驚くそうだ。そこで板橋は、機械での選別よりも人の目のほうが正確であることを説明する一方、本来は工事現場で廃棄物を分別することが望ましく、それを徹底して分別された廃棄物を資源として直接売却先に輸送することができれば、処理コストも低減することを説明する。そのあたりは考えてみれば当然のことなのだが、聞かなければ意識しないし、最終的に分別の徹底がコスト削減にも寄与する事実は、改善発想を持つ日本企業にとって見逃せない検討材料になることも多い。可愛らしい印象でありながら、板橋は押さえどころを外さない。












後輩のために、私がやりたいこと

 入社3年目を迎え、やっと自分で考えて動けるようになった板橋は、半年先に結婚を控えている。大きなライフイベントをどのように捉え、乗り越えて行くのか。それは働く女性にとって、重要な問題である。
「結婚するパートナーは、私が自宅近くで勤務し、家事にも手がまわる状態になることを望んでいます。私も新生活はそうした無理のない体制で始めたいとは思いますね」
 夢の新婚生活と「仕事を続けたい」という気持ちをハカリにかけるのは難しい。
 そんな適齢期を迎えた板橋のもとに、今年4月には後輩営業として男性社員が1名入社した。既に紹介した通り、板橋自身は営業の上司や先輩に同行して学ぶOJT教育の期間を経験したものの、その間に営業としての仕事を理解できたわけではなかったので、もう少し異なるアプローチの教育

が必要だと考えている。
「自分の経験から、ただ先輩の営業に同行して見ているだけでは、そこで何のために、どのようなことが行われているのかが、新人にはよくわからないものだと認識しています。そこで後輩には、その日そのときの活動の意図や目的を随時伝えて、できるだけ理解しやすいような状態で同行するように心がけています。例えば、現場に廃棄物処理の箱を置きたいというお客様がいるとしたら、分別には10種類以上の箱の組み合わせがあるので、何をどうセレクトして提案する箱の組み合わせをつくったかを事前に後輩に説明して、お客様との商談に臨むといった具合です」
 まだ自分が新入社員教育を受けた時期が、そう遠くないからこそできる配慮である。さらに板橋は、できるだけノウハウを書面に残してマニュアル化したいとも考えている。営業には実務を通じ

て蓄えた知識や考え方が必要だが、それをマニュアルにするには新人の立場に立って物事を捉え、その人にわかりやすく解説する力も必要である。そこで板橋は、
「今まで当社で学んだことを、私が書面に残すべきだと思います」
と語る。今まで誰も書面に残してはいない、初めて言語化するノウハウや考え方が山ほどある。難易度の高い試みではあるが、板橋は今の自分だからこそできる価値ある仕事だとも捉えている。

 3年という月日は決して長くはない。しかし、そのわずかな月日の中で学んだことをもとに営業マニュアルをつくることで、板橋は自分がリバイブで働く意味や価値を改めて見つめたい、見出したいという気持ちを持っている。そんな思いのこもったチャレンジは、もう始まっている。

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Revive People 02
営業 板橋侑希
いたばし ゆき
2012年入社 中京大学文学部心理学科卒業 岐阜県瑞浪市出身。
小学校2年生から大学卒業時までピアノを習い続けた音楽好き。高校時代までは目立たないことを良しとする控えめな性格だったが、大学になってスーパーでのレジ打ちのアルバイトと、軽度発達障害の子どもたちの学習支援をするボランティア活動を始めて、人とかかわる楽しさを知る。最初はどちらも大変だと感じたが、続けてみて人とともに働く楽しさや達成感を実感することができたので、何でも続けてみると良さがわかるものだと思うようになった。入社1年目の12月に一旦、心が折れたリバイブでの仕事もその面白さがわかるようになった今、続けて良かったと感じている。