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堂々とした態度と笑顔の大切さ

 仕事の理解度にかかわらず、入社2年目の春になると一人で営業活動を始めることになった。既存のお客様から新規の建設現場の廃棄物処理を依頼される度に、板橋は現場へ出かけてとにかく写真を撮った。廃棄物を見ただけでは、それがトラック何台分に詰める量なのかが自分では判断できなかったからである。そして会社に帰ると、現場の写真をドライバーに見せて相談し、トラック何台で処理する廃棄物量なのかをいつも見積もってもらっていた。
「実は入社4年目の今も何台相当の廃棄物なのかを見極めるのは難しく、写真は多めに撮りますし、可能であれば、上司にも同行してもらいます」

と板橋は笑う。
 それでも自分の弱い部分を把握して、手堅く業務を進めていけるようになった今は、お客様の信頼を得るためのポイントもわかってきた。
「大切なのは、緊張感や怖さをお客様に見せないこと。とにかく笑顔で、何事にも堂々と対応します。そして、真剣な話のときは笑ったりせずに真剣に話す。そうしたメリハリのある対応が、お客様に安心感を与えます」
 女性が少ない業界においては、その通りかもしれない。誰に教えられたわけでもなく、当初はなかなかうまくいかなかった顧客対応について、板橋は「何が悪いんだろう」、「どうしたらよくな
るのだろう」と自分で考え続け、半年くらい経った頃、とにかく笑顔で堂々と行動してみようと思ったのだという。それは板橋にとって大きな転機になった。
「初めてお会いするお客様は、どなたも最初は表情、態度ともに硬いものです。でも、こちらが笑顔で接していれば、2〜3回目くらいから少しずつ親しみやすくなってきます」
 板橋がそう語る通り、今はリバイブでは処理できない廃棄物のことまで、連絡してくれるお客様も現れるようになった。人と人との関係は、本当に行動と態度によって変わる。心理学科出身の板橋らしい目の付け所だったといえよう。






自分で考えて行動できる幸せ

 リバイブの顧客企業の多くは建設会社で、建設現場で発生する廃棄物の処理を同社に依頼する。つまり、顧客企業の社員にとっては建築が仕事であり、廃棄物処理はあくまで依頼する仕事に過ぎない。だからこそ、安価なコストを要請され、きちんと商談のアポイントをとっていても、伺ってみると「ゴメン!ちょっと今は手が離せないから」と言われて、話ができないこともある。そんな現状を振り返って、板橋は「地道な仕事」だと思う。
 一方で同社は社長の強いリーダーシップのもと、資源循環のために分別を徹底する「善循環プロジェクトのモデル現場」を拡販する取り組みも推進しており、板橋はそのプロジェクトのメンバ

ーでもある。厳しい現実はあるが、安直に値下げに甘んじるのは、同社のミッションに反するということだ。
「モデル現場を増やすためには、こちらの提案を聴いていただく必要がありますから、いかに話をする場を持つかが大切です。また、たとえ話す機会が持てたとしても、善循環プロジェクトが目指す先やモデル現場によってもたらされる企業メリットについて、自分はどれだけ語れるか、いかにピンとくる説明ができるかが問われます」
 そう語る板橋は、今も会長の講演を聴いたり、本を読んだりして環境についての学びを欠かさない。日々進化する環境事業に携わる者にとって、仕事に関心を持ち、常に勉強を重ねることは当然

のことなのだ。
「地球環境の危機的な状況を伝え、資源を善循環させることが人と地球の持続可能な未来をつくる第一歩になるのだと、わかりやすく話すことも私の仕事です。うまく伝えることは難しいですが、廃棄物処理の方法を考えるときに、お客様が地球環境への危機感を持っているかどうかは、その後の選択を大きく変える要因になるので、力が入りますね」

 より良い仕事をするために、「今はやりたいように動いています」と笑う板橋にとって、環境の勉強や善循環プロジェクトのプレゼンは、プレッシャーがありつつも、自分の関心に合った楽しみのひとつでもあるのだろう。






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Revive People 02
営業 板橋侑希
いたばし ゆき
2012年入社 中京大学文学部心理学科卒業 岐阜県瑞浪市出身。
小学校2年生から大学卒業時までピアノを習い続けた音楽好き。高校時代までは目立たないことを良しとする控えめな性格だったが、大学になってスーパーでのレジ打ちのアルバイトと、軽度発達障害の子どもたちの学習支援をするボランティア活動を始めて、人とかかわる楽しさを知る。最初はどちらも大変だと感じたが、続けてみて人とともに働く楽しさや達成感を実感することができたので、何でも続けてみると良さがわかるものだと思うようになった。入社1年目の12月に一旦、心が折れたリバイブでの仕事もその面白さがわかるようになった今、続けて良かったと感じている。